新・日比谷公園
設計主旨
本提案では、日比谷公園を「建築的な公園」として設計した。
かつての商店街は、上下の空間的な広がりを拡張することによってショッピングモールに姿を変えた。
戸建て住宅も同様にしてアパート・マンションとして現存している。
ここに共通するものは一つ、その姿形こそ変わっても人々の使い方は今も昔も変わらないということだ。
時代が進むにつれて他の物が次々と姿を進化させていく中、未だ昔から姿を変えていないもの、それは公園ではないだろうか。
日比谷公園は通常の公園と違い、ビジネス街の中心に在るため主に会社員の憩いの場として利用されている。
しかしその憩いの場は当然いつでも使えるわけではなく、季節や天候によって左右されてしまう。
けれど憩いの場である以上、どんな季節やどんな天気にでも同じように使ってほしい。
そこで私は屋根がついたような公園を提案する。
かつての公園の樹々を支柱環という木製の支材で囲み、支柱環と支柱環の間にガラスをはめ込む。こうすることによって雨を
凌ぐ屋根が出来、圧迫感もなく空とのつながりを立つこともない。
ガラスの下
旧・日比谷公園にある噴水周り。
噴水の中に柱を立て、人の可動領域は広場として柱が一切ないように設計。
噴水の上部は抜けているので雨の日は逆噴水として楽しめるかも知れない。
地面のレベルを下げることにより上部空間を広げた。
今まで通り何もない空間にすることで前と同じ空間の使い方をして貰う狙い。
この提案の真髄は今までの公園をより全能的にすることにあるが、
「自然」と相反する「建築」が合わさることで新たな使い方が見出される可能性も秘めていると私は感じている。
道行く人の雨宿りの場所として使われたり、室内的空間からお花見や紅葉を楽しんだり、
これまでになかった使われ方をするかもしれない。