二層の広場

※この作品は、建築新人戦2016 に出展し、16選に選出されたものです。


断面図 断面図

設計主旨

自分の居場所は自分で決めるものである。
ファーストプレイスである生活を営む場、すなわち家は、ゆくゆくは自分で決め購入する。 セカンドプレイスである職場や学校も、義務を終えた後は自分で高校・大学と選び、自分の身の丈にあった場所へと就職する。 この場所がそれに次ぐ第三の居場所『サードプレイス』であるならば、そこに明確な機能を設けることは人々の居場所として適さない。
そこで周囲の学生や社会人がこの建築の中で自分の居場所を探せるよう心がけ、設計した。
この建築は二層の薄い RC で構成されており、その様々な場所に空いた穴や層下にできた空間の中に人々が足を運ぶ。
都市的な周囲に相反しどこか自然の一部のような、建築であって建築ではないような、
地面の延長として構築されたそれが壁や扉に阻まれることなく存在していることで人々が自然に誘われ、居場所を据えていくだろう。

外観パース 外観全体パース
外観パース 外観背面パース
外観パース 外観正面パース

人が自分の居場所を据える時、全員が全員同じ場所になることは決してない。
「千差万別」という言葉があるように、人の数だけ居場所も様々あるのだ。
ならばと考えた時、確たる目的を持った商業施設を据えたとして、それは誰しもの居場所になり得るのだろうか。
据えられたそれに興味の無い人は必ずいるわけで、興味関心のある人間ですら、据えられたそのもの以外の目的で立ち寄ることはない。
私はこれらを踏まえた上で「曖昧な建築」を設計した。そこに確たる目的はなく、人によって使われ方は異なる。
さんにとっては「本を読む場所」かもしれないし、Bさんにとっては「寝転がってくつろげる場所」かもしれない。
立ち寄っていく中で、自分がここで何をしたいかを見つけ「居場所」として据えていく。
「昨日は勉強に使ったけれど、今日は寝っ転がってゆっくりしたい…」
そんなとき、普通なら場所は変わるが、確かなものが据えられていない曖昧さ故に同じ場所でそれが可能になる。

                    

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