緑の壁の図書館

※この作品は、第5回 E&G DESIGN 学生デザイン大賞 に出展したものです。


外観パース 外観パース

設計主旨

学校の黒板が一般に緑色なのは、目に良いとされているからである。
緑色の光の波長は網膜に負担をかけない波長で、長時間囲まれていても疲れることなく集中力を保つことができるそうだ。
私はこれを知った時、「この効果はもっとたくさんの場所で利用されるべきだ」と考えた。
現存する多くの図書館には少なからず緑が施されている。それは単に装飾的な緑であったり、窓から見える自然的な緑であったり様々である
が、共通するのは「緑の効果」を利用している意識が見受けられるところだ。しかし、これで本当に「緑の効果」は期待できるのだろうか。
学校の黒板は、それそのものが見る対象であるから「緑の効果」に期待できる。しかし図書館における緑はそうもいかない。
図書館での見る対象は本であり、つまり意識して目を向けなければ、緑が視界に入ることはないのである。
私はこれらを踏まえた上で、どうすれば図書館内の視界に緑を取り入れられるかを考えた。そこで本案では、壁面緑化の図書館を提案した。

平面図 平面図

図書館に来たからには必ず本を読む。本を読むためには本棚に収納された本の中から目的の本を探し出す必要がある。
実は図書館内で必ず視界に入るものは、本とそれが収納されている本棚なのである。加えて建物内に入ったとき必ず目にする壁、
これらが図書館内における最低限視界に入るものである。この二つを合わせたとき、そこには間違いなく「緑の効果」が期待できる。
図書館を訪れた人々は緑の壁に囲まれた廊下を目的の本があるところまで歩き、着いたら本棚が埋め込まれた壁の中から本を探す。
緑にはリラックスや目を休めたりする効果もある。リラックスした状態での読書や、読書に酷使した目を休めるためには、
やはり図書館における緑は有るべくしてあるものなのである。

内観パース
内観パース
内観パース

この図書館は木々の茂る大きな公園のなかに存在する。
外に伸びた緑の壁は周囲の自然を吸い取り内部へと伝えるようなイメージ、
そして外から入り込む自然が壁となって存在しているイメージを持っている。
既存の図書館はほとんどが内部に閉じ気味であるが、これをコネクションに内部空間を外部へと広げたい。
言わばこの壁は外と内を繋ぐ接着剤なのである。
エクステリアはどうしても「見るだけ」で、ただの景観・景色になってしまいがちだが、外から内へと入り込むようにすることで
「匂い」や「感触」を感じることができる。

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Diagram

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